母が倒れた日
ある日突然、母が救急搬送されたと連絡がありました。 結果、脳出血。右半身まひと言葉が出にくい言語障害が残りました。
わたしは以前、脳外科で働いていた経験がありました。それでも母が倒れた瞬間は頭が真っ白になり、家族としては何から手をつけたらいいのか分かりませんでした。
現在はデイサービスに勤めており、主介護者である父をサポートしながら、介護保険の申請やサービス利用についてアドバイスする立場になりました。
祖母も同居しており、歩行はできるものの初期の認知症の症状がありました。父ひとりで抱えるには負担が大きく、家族で話し合いながら「母にとっての最善策」を考えていく日々が始まりました。
デイサービスと訪問リハビリ、福祉用具の活用
その後、リハビリ病院を経て、自宅に退院する流れになりました。
祖母は母が倒れる前からデイサービスを利用しており、担当のケアマネジャーさんがいました。現状を説明し母の担当も依頼。入院時から少しずつ準備をすすめていました。
父の希望で、入浴は自宅で毎日行うことに。そのため、次の福祉用具をレンタルで準備しました。
- 電動ベッド
- 車いす
- 手すり
- 歩行時の杖
- 入浴介助に必要な物品
さらに、自宅での週1回の訪問リハビリでは生活のリハビリを。短期リハビリでは言語リハビリを行い、週1回で入浴なしのデイサービスも通っています。
祖母もデイサービスを使用し、必要に応じてショートステイも利用していました。
このように、制度やサービスを組み合わせることで、家族の負担を減らしながら、母・祖母ともに必要な支援を受けていました。
介護保険とは?対象と申請の流れ
わたしの母の経験はこのような感じですが、基本的にどのような道筋になるのかを書いていきます。
介護保険は、40歳以上の人が加入している公的な制度です。
申請して「要支援」または「要介護」の認定を受けることで、さまざまなサービスが使えるようになります。
■ 対象者
| 年齢 | 対象となる人 |
|---|---|
| 65歳以上 | 加齢による要介護・要支援状態 |
| 40~64歳 | 脳卒中やがん、認知症などの特定疾病による状態 (特定疾病 厚生労働省ホームページ)http://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/nintei/gaiyo3.html) |
■ 介護保険を使うまでの流れ
- 市区町村に申請➡保険証、申請書、本人確認書類等必要なものがあるため問い合わせると良い
- 訪問調査と主治医意見書の提出
- 要介護認定(要支援1~2、要介護1~5)➡認定が出るには約1か月ほどかかるため早めに申請するのが良い
- ケアマネジャーがケアプラン作成➡ケアマネは市役所から紹介してもらうことがほとんどですが、希望する事業所があれば伝えることが可能です。
- サービス利用スタート
※要支援→地域包括センターのケアマネ 要介護→居宅介護支援事業所のケアマネが担当します。要支援から要介護になるとケアマネが変更になることがあります。介護保険で使えるサービスの種類や回数も介護度によって決まってきます。
利用できる主なサービス
■ 在宅(通い・訪問)サービス
- デイサービス(通所介護):入浴・食事・レクリエーションなど日帰りで提供。リハビリ等自宅で過ごす目的での関わりを行っていく。家族の介護負担軽減目的もあり。
- デイケア(通所リハビリ):医師の指示のもと、専門職(作業療法士、理学療法士、言語療法士 いわゆるリハビリの先生と言われている方々)によるリハビリ。デイサービスよりもリハビリに特化している。
- 短時間リハビリ:1~2時間の短い時間でリハビリだけを専門的に行うサービス
- 訪問介護:ホームヘルパーが自宅で生活援助や身体介護を行う。
- 訪問看護、訪問リハビリ:看護師やが自宅に訪問して健康観察や適切なリハビリを行う。
- 訪問入浴:自宅での浴槽に入れない方のためのサービス
- 訪問診療:医師が訪問して診察をする
■ 短期入所サービス
- ショートステイ:数日から最長30日程度入所し、日常生活の介護やリハビリなどのサービスが受けられる
■ 入所する施設(今回は簡単に紹介)
| 施設名 | 特徴 |
|---|---|
| 特別養護老人ホーム(特養) | 終身利用が多く、重度要介護の人向け |
| 介護老人保健施設(老健) | リハビリをして在宅復帰を目指す |
| グループホーム | 認知症の高齢者が少人数で共同生活を送る |
※入所施設については、まだ複数ありますが別記事で詳しくご紹介予定です。
経験と知識が家族を助けた
自宅への退院時に病院でケースワーカーさんがどういうサービスがあるかを教えてくれるのですが、きっと何も知らなかったら何を相談したり質問していいのかもわからないと思います。
「知っているだけで選択肢が広がる」
これは実際に家族の立場としても実感しますし、自宅で療養生活を行う本人の不安を少しでも軽減できるのではないかと思います。
まとめ:介護は突然始まる。でも知識が心を支える
「うちはまだ元気だから」と思っていても、介護は本当に突然始まります。
だからこそ、早めに情報を知っておくだけで、いざという時に慌てずにすみます。
私自身の経験や仕事で得たことが、これから誰かの役に立てば嬉しいです。
この記事の最初の内容は私の母、祖母の状態に合わせたサービスになります。個々に合ったサービスは異なりますので介護保険を使用したことが無い方、分からないという方は市役所や各事業所に相談することをお勧めします。

