これから介護が始まる方、すでに始まっている方、介護の仕事に興味がある人の中には
「デイサービスってよく聞くけど、実際どんなことをするの?」と思う方もいると思います。
私は現在、デイサービスで看護師として働いています。
今回は、利用者さんがどのように1日を過ごしているのかを中心に、デイサービスの基本的な内容についてご紹介します。
デイサービスとは?
デイサービスとは、正式名称:通所介護のことです。要介護認定を受けた方が利用できる介護保険サービスのひとつです。
日中施設に通って、入浴・食事・リハビリ・レクリエーションなどの支援を受けることができます。
自宅で生活を続けたいという高齢者の希望を叶え、できるだけ長い期間自宅で生活できるように健康管理やリハビリを行うだけでなく、家族の介護負担を軽減できるサービスとして利用されています。
デイサービスの1日の流れ
施設によって細かな違いはありますが、一般的な1日の流れは以下のようになります。
■ 送迎(8:00頃〜)
専用の送迎車で、利用者の自宅まで迎えに行きます。
家族や本人にその日の体調や生活状況について伺うこともあります。
■ 健康チェック(9:00〜)
到着後、看護師がバイタルサイン(体温・血圧・脈拍など)を測定し、当日のサービス実施可否を判断します。
■ 入浴介助(9:30〜)
個浴または機械浴などを使用しての入浴介助が行われます。
利用者のADL(日常生活動作)レベルに応じて、介助方法を調整します。また皮膚状態等によりシャワー浴に切り替えることもあり、体調によっては入浴は中止として清拭に変わることもあります。
また、入浴後には基本的には医師、訪問看護師等からの指示での軟膏やシップ等での処置を行います。(原則、自宅から持参してもらったもののみの使用になります。)皮膚トラブルや気になる点があれば家族やケアマネに報告できるよう対処していきます
■ 機能訓練・リハビリ(9:30〜)
機能訓練指導員(理学療法士・作業療法士等)が中心となり、関節可動域訓練(ROM)や筋力維持トレーニング、バランス訓練などを行います。
また、集団体操も取り入れ日常動作に必要な筋力維持を図ります。
■ 昼食・服薬(12:00〜)
管理栄養士が監修した献立に基づく昼食が提供されます。
嚥下機能や口腔内の状況に応じた形態食(刻み食・ミキサー食など)や、とろみ対応も実施され必要に応じて食事摂取の介助を行います。
看護師が服薬介助や内服確認を行うことで、服薬ミスを防止します。
食後には口腔ケアも実施します。自分でできる方には自分で行っていただき、必要に応じて介助します。
■ 休憩・静養(13:00〜)
個別ベッドやリクライニングチェアでの静養時間となります。
午睡を取る方もいれば、塗り絵や新聞、読書をする方、席を移動してお話をされる方等様々に過ごされます。
■ レクリエーション活動(14:00〜)
創作活動・ゲーム・音楽療法・季節行事など、利用者のQOL(生活の質)向上を目指した活動が行われます。
認知機能、運動機能の維持・向上を目的としています。
■ おやつ(15:00〜)
水分補給とともに、軽食が提供されます。施設によっては利用者の状態に合わせて形態を変えることも可能です。
■ 帰宅・送迎(16:00〜)
利用者の体調や様子を確認し、送迎車で自宅までお送りします。
必要に応じて、日中の様子を家族に報告します。
利用できる人は?
デイサービスは、要介護1〜5の認定を受けた方が対象です。
要支援1・2の方は「介護予防通所介護」として同様のサービスを利用できます。
利用回数は介護度によって変わってくるため、介護保険証の更新時に介護度が変更になった場合は回数が変わる可能性もあります。
デイサービスに求められること
「必要に応じて」という言葉が多いのは、利用者の状態や利用者の取り巻く環境がそれぞれ違うからです。身体機能、認知機能も人それぞれ違うため利用者に合わせて対応しています。
また、すべてを介助するのではなくその人の残存機能、生活スタイル、本人の希望にできるだけ合わせて介助を行うため利用者によって関わり方が違ってきます。それが、自宅でできるだけ長く生活ができるように…という利用者の気持ちや家族につながっていくのではないかなと思います。
また、利用者自身の健康も大切ですが、介護している家族の負担の軽減も考えなくてはなりません。本人、家族にとって何が最善策かを家族とともに考えていくことも大切な仕事の1つとなります。
基本的に自宅が生活の場としているデイサービスでは個別の対応が求められていると思います。
まとめ
デイサービスは単に日中を過ごす場所ではなく、利用者さんの健康や心の安定、そして家族の介護負担を支える重要な役割を持っています。
次回は、デイサービスで看護師が実際に「どんなことを見ているのか」「何を気にかけているのか」についてお話ししていきたいと思います。