デイサービスの現場で気づいた体調不良の小さなサインと判断や対応の難しさ ~コロナを例に~

お仕事(看護・介護)編

新型コロナウイルスが5類に移行し世間ではマスクを着用せず過ごすことも多くなりました。イベント等もコロナ以前のようになってきていますね。しかし高齢者は重症化しやすいため施設ではマスク着用をお願いしたりコロナが発生するとコロナが2類の時同様しっかり対応をする施設もまだまだ多いのではないのでしょうか。
特に高齢者は、若年層と比べて症状の出方が大きく異なります。

若い世代との違いとは?

若い方の場合、喉の強い痛みや38度を超える高熱、咳などの症状がはっきり現れることが多いですが、高齢者ではそういった「典型的な症状」が見られないことも少なくありません。

それどころか、「何となく元気がない」「いつもより歩くのが遅い」など、一見コロナと無関係にも思えるようなサインが最初に見えることもあります。

「なんとなく元気がない」がサインになることも

実際の現場でも、「朝は熱がなかったけど午後から微熱が出てきた」「いつもより食欲がなくて静か」など、小さな変化がコロナの始まりだったケースが何度もあります。


デイサービスで実際にあった感染のケース

ここでは、実際にデイサービスで遭遇したコロナ感染の事例をご紹介します。

微熱と咳だけ?午後から急変→陽性

朝の体温は平熱で特に問題はなく午前中のスケジュールをこなしていた方が、午後になってから咳が出始め、体温を測定すると微熱、帰宅後に高熱となり受診した結果陽性だったというケース

発熱なし、でも歩行や食事に違和感→帰宅後に判明

朝のバイタルサインは一見問題がないように見えた方が、歩き方のふらつきや食事のペースの遅れ、食事摂取量がいつもより異様に少ないといった普段とは違う様子を見せていました。職員の間で気になり帰宅後ご家族に様子を伝えたところ、夕方には発熱し次の日受診され陽性と判明したケース

検査せず通所→周囲で陽性が相次いだケースも

「咳は出ているけど熱はないし元気そうだから大丈夫」という判断で、検査をせずに通所された方がいました。来予後も咳のみ。発熱はなし。
後にその方のご家族が陽性と分かり、同時期に通っていた他の利用者様にも陽性者が複数出たため対策に追われたという、現場としても一番対応に苦慮したケースでした。

高齢者は風邪でなくても咳が出る方も多く、その方も咳をしてみえる方だったのでこちらも判断がつきにくかったです。

典型的な症状だが…陰性

来所時に微熱、利用中に体温が上がり全身のだるさが見られた方がいました。帰宅してもらい夕方受診、陰性だったケース。受診結果は風邪かな?とのことで、家族もその後は特に症状ないため陰性だったんだろうけど…と不思議でした。発熱=コロナとは限らないということですね。


判断が難しい中での現場対応

通常とは別対応を行う

体調に不安のある方については、感染対策としての「別対応」を行っています。
基本的には、マスクを取る場面での対応方法です。

  • 食事、おやつの時間は別席に移動する
  • 入浴や口腔ケアは一番最後に対応
  • 使用後の設備はしっかりと換気・消毒

※感染症限らず、基本的にトイレは利用者の使用後に消毒を行っているため別対応とはしていません。

家族や本人への説明の工夫と難しさ

こうした別対応は、感染を広げないために必要な措置ですが、本人やご家族に誤解されてしまうこともあります。
現在は割と寛容ですが実際、感染症分類が2類だった頃には、コロナの可能性があるだけで別対応をすることに「なぜ自分だけ別なのか」「病原菌扱いをされている」と苦情がありました。

予防として事前に別対応をさせてもらうことが分かっている場合は、できるだけ送迎時に本人家族に直接説明をし、急な対応変更の場合は、本人への声かけとともにご家族への説明、必要時は電話連絡も欠かさないようにしています。


現場の葛藤

病院受診のハードルとワクチンの接種率低下による感染のしやすさ

「熱がないから」「病院が遠くて連れて行けない」「本人が嫌がる」など、受診が難しい事情も多く、感染が広がるリスクは常に隣り合わせです。病院も本人の状態や家庭環境によっては、すぐ病院に行けない方もみえます。

最近では、ワクチンを打たなくなった利用者さんも増えており、以前よりも感染が広まりやすくなっているという実感があります。今は医療従事者でもほとんど打ってないですしお金がかかることですので強要はできません。

「仕方がない」で片付けられない現場の責任感

「知らないうちに広げてしまったかもしれない」という不安は、職員にとって大きなプレッシャーです。現実、元気だったけどコロナにかかったため体力が落ちてしまった、身体状況が悪くなったという利用者さんもいます。
それでも、強制できない部分が多い中で、できる限り早期に気づき、広げない工夫をすることが大切だと感じています。


まとめ

高齢者は、わかりやすい症状が出ないことがあるからこそ、日頃からの関わりと観察が重要になります。今回例に出したコロナだけではなく、冬場になるとインフルエンザも出てくるし、肺炎も典型的な症状がみられないことは多いです。また、咳のみ=別対応というのも難しいため症状の見極めや、状況に応じての対応をしていく必要があります。


デイサービスの現場では、「ちょっとした変化」に気づくことが高齢者の健康の維持つながることを、日々実感しています。

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